運命とは必然なもの

06


まさか、と思った








『ロイ』なんて名前どこにでもあると思っていたから別人なんだと思っていた








でも、書類を見たとき確信したんだ








『マスタング』この姓を見た瞬間








マフィアのボスだとわかった瞬間








なぜロイが自分の姓を名乗らなかったのか








わかった気がした








突撃は明日決行だそうだから今日から俺と上司の部下は軍に泊まることになっていた。明日の作戦会議の終わったから、みんな明日
に備えて寝ているだろう。でも、俺は寝れなかった。
俺は親父と母さんが死んだ事故にずっと疑問を持っていた。俺は親父と母さんが死んだ時、一緒にいたからわかったことだけど、あの
事故は故意によるものだった。明らかに親父と母さんを狙っていた。俺は親父と母さんが守ってくれたから助かったけど、俺は見えた
んだ。親父と母さんを殺した相手を・・・。その事故で右手左足をなくした俺はアル兄に機械鎧をつけてもらって1年でリハビリを終えて、
親父と母さんを殺した相手に復讐するために国家錬金術師になった。もちろん周りには猛反対されたけど俺の意思は固かった。国家
錬金術師になればそいつを見つけやすいと思った。案の定そいつはすぐ見つけられた。そして、そいつのボスの名も・・・。そのボスの
名が、『ロイ・マスタング』だった。
「俺はどうしたらいいんだろう・・・。」
思わず呟いてしまったけど、ここは俺だけに与えられた部屋だから誰も聞いちゃいない。俺の声だけが虚しく響く。
上司にもらった資料を見てロイだとわかった瞬間、びっくりした自分がいたけど、その反面、ロイと闘いたくないという自分がいたことに
気づいた。
そして、自分がロイに引かれていたことがわかった。
今の俺はロイを殺したくない、ロイと闘いたくない、そのことばかりが頭に浮かぶ。








なぜ・・・どうして・・・








そればかりが頭に浮かぶ








どうして俺とあんたは出会ってしまったの








なぜあの日、助けてくれたのがあんただったのか








どうしてあんたでなければいけなかったのか








答えは見つかりそうもない・・・